社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
「あの言葉は嘘か? お前は、俺をわかってたんじゃないのか」
「しゃ、社長……」
肩を震わせている彼に、私の胸が詰まる。
もしかして私、社長のことを傷つけた……?
ずきりと走る胸の痛みに戸惑っていたら、ふいに顎を持ち上げられた。険しい表情のまま、彼はつぶやく。
「そもそも、俺はあいつ――新庄さやかと付き合ってない」
「え……でもみんなが」
「そういう噂があったことは知ってる。ちょうどいい女除けになるから、敢えて訂正しなかっただけだ。だいたいあいつは――」
そこまで言いかけて、彼は言葉を途切れさせた。睨むように私を見る。
「俺を、信じられないのか?」