社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 呆気に取られた顔をしてから、社長は考えるように少し目線を上げた。

「たしか実家だったよな? ひとり暮らししないのか?」

「引っ越しとか新生活に必要な費用が溜まったら、出ようとは思ってるんですけど……」

 実現できる日はいつになるやら。

 減り続けるだけで心もとない預金残高と、三人暮らしのマンションを思い起こしていると、後ろからぽんと背中を叩かれた。

「前原ちゃんて、身長何センチなの?」

 振り返ると白い頬をリンゴのように染めた板倉さんが、ニコニコしながら私を見上げていた。すっかり出来上がっているようで、機嫌がよさそうに私と社長を見比べている。

「新庄さんとおんなじくらいあるよねー? 社長と並んでるとめちゃくちゃお似合いだわー」

「えっ!?」

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