社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
声をしぼりだすように答えながら、息ができないような苦しみに戸惑う。
なに……これ。
社長はどこから見ても魅力的な人なんだから、彼女くらい当たり前にいるはずだし、その相手が新庄さんだったとしても不思議じゃない。
そもそも私は、社長のことをかっこいいと思っていただけで、彼とどうなりたいとか考えていたわけじゃない。
それなのに、どうしてこんなにショックを受けているのだろう。
「このあとの二次会、前原ちゃんも行くでしょ?」
なにも知らない板倉さんが、無邪気な顔に笑みを咲かせる。心苦しく思いながら、私はどうにか笑みを返した。
「ごめんなさい、私、帰らないといけないので……」