君日記~地味女子×イケメン男子Diary~
そうや……。たけだ、そうや…?


髪の毛は少しだけぴょんぴょんはねていて、焦げ茶色。


切れ長の目だけどどこか優しい雰囲気を持っていて、鼻のラインも、唇の形も綺麗に整っているこの顔……この美男子は…。


地味な私でも知っている。


学年1イケメンで有名な武田 蒼弥(たけだ そうや)だ。


この人が廊下を歩くたび、女子が目で追っているのをよく見る。


「ありがとうございます……そしてぶつかってしまってすいませんでした。前見てなくて…」


すると蒼弥は、こちらこそごめん、と言ってから床の資料を持ち上げて私の両手にのせようとした。


ところが蒼弥は私の手に置く寸前で一時停止した。


「……?」


「いや、この量1人で持ってきたの?」


「…はい、でも大丈夫ですよ!教材室まであと少しですし!」


ところが


「俺、手伝うよ」


と言い、私には資料の約4分の1を。蒼弥は残りの約4分の3を持った。


悪いな、と思いながら蒼弥の後に続く。


目の前の蒼弥はクラスカラーである赤のジャージを着ている。


ということは、部活…?


サッカー部だったっけな、よく帰り道にグラウンドでサッカーをしているのをたくさんの女子が見ているもんな。


そしてあっという間に教材室に着いた。


「ふぅ、疲れたー!」


資料を机の上に置いた瞬間叫ぶからびっくりした。


「ありがとうございました、助かりました」


蒼弥の方を向いてペコッと丁寧に頭を下げた。


「そしてさっきは本当にすいませんでしたっ」


さようなら、と言うように教材室を出た……つもりだったが、後ろから声をかけられた。


「これだけ?」


「へ??」


「仕事まだあるんじゃないの?」


私『本当はまだあるから手伝って欲しい…』みたいなオーラ出してた!?


でもこれ以上迷惑はかけたくない。


「でも、大丈夫です。ありがとうございました」


「うーん、そう、わかった!」


爽やかスマイルを私に向けて蒼弥はスタスタと教材室を出ていった。


夢じゃないだろうか…。


こんな地味な私が学年1イケメンで有名な蒼弥さんと話してた…!!


優しいんだなぁ……。
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