君が夢から覚めるまで
「香帆ちゃん、俺…」
ピリリリリリ…
怜の言葉を遮るように香帆の携帯が鳴る。
ピリリリリリ…
「…出て良いよ…」
「…あ、うん……もしもし…」
香帆の携帯の着信画面をこっそり横目で見る。
『翔也』と表示されてるのを見て、ズキンと胸が痛む。
見なきゃ良かった…。
だが、電話から僅かに漏れる男の声に思わず聞き耳を立ててしまう。
「え?今から⁉︎う〜ん、今日は無理…」
男からの誘いに断ってくれた事に、少しだけホッとする。
「明日?…うん…うん…本当⁉︎やった〜楽しみにしてるね‼︎…うん…うん…じゃあ明日!は〜い!」
もう…どうしようもなかった。
堪らなくて、止まらなくて…。
電話を終えた香帆を強く抱き締めていた。
「明日…行くなよ…」
「…え…?」
「俺………香帆ちゃんが好きだ…」
ぎゅうっと抱き締める腕に力を込める。
「俺以外の男なんかに、会いに行って欲しくない。だから明日…行かないで…」
最後は情けないほど懇願していた。
だけど、カッコ悪いなんて言ってられない。
なりふり構ってられる余裕はなかった。
「…今の電話の事?…」
コクンと頷く。
「他の男に取られたくない…渡したくない…好きだから…香帆ちゃんが好きだから…」
香帆の耳元に顔を埋めて言う。
伝わったかな…。
香帆のシャンプーの香りと、優しい香水の香りがしてどんどん胸が苦しくなってくる。
「…ごめんね…今の電話、バイト先の店長で、シフトの確認で…」
「好きなのか?その店長の事」
「だから違うって」
「じゃあ何が楽しみなんだ⁉︎」
「…今日は…クリスマスだから、店長が皆んなにケーキを差し入れてくれて…今日は行けないって言ったら、明日まで残しててくれるって…」
膝の力が一気に抜けた。
あまりにもくだらない話しに、勝手に勘違いして焦って告白してしまった事に愕然とした。
「なんだ…俺…色々変な事考えちゃったじゃん…」
「変な事って?」
「あの店長と何かあるんじゃないかって…」
「ないない!ないって言ったじゃん」
「でもこの間、二人で楽しそうに歩いてたじゃん?しかも香帆ちゃん、俺に見られた事気まずそうにしてたから…」
「…あれは…」
香帆は鞄から包紙を取り出し、はいっと怜に手渡した。
「クリスマスプレゼント。そんな義理ないって言うならお詫びの印」
「俺に?」
「本当は帰り際にさりげなく渡すつもりだったけど、こんな展開になるとは思わなかったし…」
包みを開けるとマフラーが…。
「ありきたりで申し訳ないけど。翔也さんが彼女へのプレゼントに悩んでいたから、付き合う代わりに、私のも付き合ってもらったの。怜君が見たって言うのは多分、その時…」
「言ってくれれば良かったじゃん…」
「そんなの…サプライズになんないじゃん…」
口を尖らせて少し拗ねたフリして香帆はそっぽ向いた。
その横顔が可愛くて堪らなかった。
「良かった…」
再び香帆を抱き締める。
「ごめん…勘違いして責めたりして…けど、良かった…マフラーありがと…すっげぇ嬉しい…」
ぎゅうっと胸が締め付けられる。
「あ〜恥ずかしい!何やってんの、俺!もう…まだ告白するつもりなかったのに…」
「え…?」
「好きだって言ったのは本当だよ。香帆ちゃんが俺の事そうゆう風に見てない事も知ってる。だから、大学合格したら胸張って言おうって思ってたのに…けどもう先に言っちゃったからさ」
すうっと大きく息を吸い込む。
「香帆ちゃん…俺、香帆ちゃんが好きだよ。だから大学、合格したら俺と付き合って。あと3ヶ月あるけど先に予約しておくから。いい?」
香帆は目をパチパチさせ、ふふっと笑った。
「じゃあ、あと3ヶ月、一緒に頑張ろうね」
怜の告白に返事はしなかったが、一緒に頑張ろうねと言った気持ちに前向きであると解釈した。
ピリリリリリ…
怜の言葉を遮るように香帆の携帯が鳴る。
ピリリリリリ…
「…出て良いよ…」
「…あ、うん……もしもし…」
香帆の携帯の着信画面をこっそり横目で見る。
『翔也』と表示されてるのを見て、ズキンと胸が痛む。
見なきゃ良かった…。
だが、電話から僅かに漏れる男の声に思わず聞き耳を立ててしまう。
「え?今から⁉︎う〜ん、今日は無理…」
男からの誘いに断ってくれた事に、少しだけホッとする。
「明日?…うん…うん…本当⁉︎やった〜楽しみにしてるね‼︎…うん…うん…じゃあ明日!は〜い!」
もう…どうしようもなかった。
堪らなくて、止まらなくて…。
電話を終えた香帆を強く抱き締めていた。
「明日…行くなよ…」
「…え…?」
「俺………香帆ちゃんが好きだ…」
ぎゅうっと抱き締める腕に力を込める。
「俺以外の男なんかに、会いに行って欲しくない。だから明日…行かないで…」
最後は情けないほど懇願していた。
だけど、カッコ悪いなんて言ってられない。
なりふり構ってられる余裕はなかった。
「…今の電話の事?…」
コクンと頷く。
「他の男に取られたくない…渡したくない…好きだから…香帆ちゃんが好きだから…」
香帆の耳元に顔を埋めて言う。
伝わったかな…。
香帆のシャンプーの香りと、優しい香水の香りがしてどんどん胸が苦しくなってくる。
「…ごめんね…今の電話、バイト先の店長で、シフトの確認で…」
「好きなのか?その店長の事」
「だから違うって」
「じゃあ何が楽しみなんだ⁉︎」
「…今日は…クリスマスだから、店長が皆んなにケーキを差し入れてくれて…今日は行けないって言ったら、明日まで残しててくれるって…」
膝の力が一気に抜けた。
あまりにもくだらない話しに、勝手に勘違いして焦って告白してしまった事に愕然とした。
「なんだ…俺…色々変な事考えちゃったじゃん…」
「変な事って?」
「あの店長と何かあるんじゃないかって…」
「ないない!ないって言ったじゃん」
「でもこの間、二人で楽しそうに歩いてたじゃん?しかも香帆ちゃん、俺に見られた事気まずそうにしてたから…」
「…あれは…」
香帆は鞄から包紙を取り出し、はいっと怜に手渡した。
「クリスマスプレゼント。そんな義理ないって言うならお詫びの印」
「俺に?」
「本当は帰り際にさりげなく渡すつもりだったけど、こんな展開になるとは思わなかったし…」
包みを開けるとマフラーが…。
「ありきたりで申し訳ないけど。翔也さんが彼女へのプレゼントに悩んでいたから、付き合う代わりに、私のも付き合ってもらったの。怜君が見たって言うのは多分、その時…」
「言ってくれれば良かったじゃん…」
「そんなの…サプライズになんないじゃん…」
口を尖らせて少し拗ねたフリして香帆はそっぽ向いた。
その横顔が可愛くて堪らなかった。
「良かった…」
再び香帆を抱き締める。
「ごめん…勘違いして責めたりして…けど、良かった…マフラーありがと…すっげぇ嬉しい…」
ぎゅうっと胸が締め付けられる。
「あ〜恥ずかしい!何やってんの、俺!もう…まだ告白するつもりなかったのに…」
「え…?」
「好きだって言ったのは本当だよ。香帆ちゃんが俺の事そうゆう風に見てない事も知ってる。だから、大学合格したら胸張って言おうって思ってたのに…けどもう先に言っちゃったからさ」
すうっと大きく息を吸い込む。
「香帆ちゃん…俺、香帆ちゃんが好きだよ。だから大学、合格したら俺と付き合って。あと3ヶ月あるけど先に予約しておくから。いい?」
香帆は目をパチパチさせ、ふふっと笑った。
「じゃあ、あと3ヶ月、一緒に頑張ろうね」
怜の告白に返事はしなかったが、一緒に頑張ろうねと言った気持ちに前向きであると解釈した。