君が夢から覚めるまで
宴もたけなわ…お祝い会は大変な盛り上がりを見せ、お開きとなった。
それぞれが帰路に着く。
「ね〜誰かコイツ連れて帰ってよ〜」
見ると亮がソファに横になって寝ていた。
お酒が強い筈の亮が酔い潰れてるなんて珍しい。
そんなにみんなに会えたのが嬉しかったのだろうか…。
自分が原因でバイトを辞めたようなものだ…。
香帆は少し罪悪感を感じた。
「そう言えば、香帆ちゃんと亮君って家の方向同じじゃない?」
「え、あ、ああ…」
「じゃあ、送ってあげてよ」
「私がですか?」
「だってひとりじゃ帰れないでしょ?こんな状態じゃ…」
そうだ、こんな状態になってしまったのも、元を辿れば自分かもしれない…。
そう思うと無下にできなかった。
香帆は亮をタクシーに押し込んだ。

亮のアパートの前でタクシーを降り、亮を抱えながら玄関まで引きずる。
「亮君、ちゃんと歩いて!」
「ここどこ〜」
「家!亮君ち!触るからね!」
亮のお尻のポケットに手を突っ込み家の鍵を取り出す。
「男のケツ触るなんてエロ〜」
「バカ!何言ってんの、この酔っ払いが」
亮をベッドに寝かせ、グラスに水を注ぎ手渡す。
「ん、さんきゅ…」
ゴクッゴクッと喉仏が上下するのが妙に色っぽくて目が離せずにいた。
「じゃ、じゃあ私はこれで」
立ち上がり背を向けたら強い力で腕を引っ張られ、吸い込まれるようにベッドに倒れこんだ。
「え、え?」
亮が香帆に覆い被さる。
さっきの酔っ払ってる時とは目つきが全然違う。
「俺が酒強いってことも忘れた?」
「嘘…だったの?何のために⁉︎」
「香帆と…二人っきりになりたかったから」
「どうして?私達もう終わってるでしょ?」
香帆はもがくが、両腕を押さえつけられて動けない。
亮が顔を近付けてくる。
反射的に顔をそらす。
「俺はまだ終わってないって言ったら…?」
チュッと耳たぶにキスをする。
「やだ!亮君!私、怜君の彼女だよ⁉︎」
「分かってるよ!だから気に入らないんだよ…なんで怜なんかと付き合ってんだよ」
亮は香帆の首元に顔を埋めて小さく呟いた。
「何でって…」
「俺の女だったのに…よりによって怜なんかと…」
亮の唇が首に触れた。
「やめて‼︎」
キスマークを付けられるかと思った。
避けるように正面を向くと、そのまま亮と唇が重なった。
「ん!んんっ‼︎」
必死に抵抗するが、すればするほど深くなっていった。
どうして⁉︎
どうして…こんな事するの…?
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