君が夢から覚めるまで
「香帆ちゃん、その水着超似合ってる。可愛い」
怜が嬉しそうにニッコリ微笑む。
「ありがと」
「けどさ〜彼氏の立場から言わせてもらうとチョット露出多過ぎない?俺は嬉しいけど、他の男には見せたくないな」
露出と言ったら涼葉の方が…同じ面積のビキニでも涼葉の方が遥かに出てた。
「涼葉ちゃんって、案外巨乳だったんだね」
二人でグランパス号に掴まりながら並んでプカプカ浮いていた。
「良いよな〜先輩…」
怜の言葉にズキンと胸が痛む。
「あ、でも俺は香帆ちゃんが一番だよ!要は大きさじゃないんだから」
怜がいやらしくニヤッと笑う。
「もうっ‼︎」
ぱしゃっと怜の顔に水をかける。
「あはは、ごめんごめん」
怜は悪びれる様子もなくおどけて笑った。
香帆が頬を膨らませると、グイッと後頭部を掴んで唇を重ねてきた。
ーーーこんな人が一杯いるとこで⁉︎
香帆は真っ赤になり抵抗したがビクともしない。
「怜ー!」
遠くで呼ぶ声がすると、漸く唇が離れた。
「何イチャついてんだよ〜こっち来てビーチバレーやらねぇか?」
「うん!やるー‼︎」
香帆の方へ向き直る。
「ごめん、あんまり可愛い顔されちゃったからついチューしたくなっちゃったよ。香帆ちゃんもビーチバレーしない?」
「ううん、私はここから見てるから怜君行っておいで」
「…うん、分かった」
パシャパシャと怜はビーチへ向かって泳ぎ出した。
ビーチには和馬がいた。
今のキスも見られていただろう…どこか傷付いてる自分に気付かないフリをした。
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