君が夢から覚めるまで
27.東京土産
和馬は海で香帆と仲良く?してた事について、怜にヤキモチ的な事を言われるかと思っていた。
だが、怜は案外あっけらかんととしていた。
多分、怜にとって和馬はライバルにはならないと思ってるんだろう…。
「そう言えば、先輩って名古屋出身ですよね?」
怜にいきなり尋ねられてドキッとした。
「あ、ああ」
「名古屋の人って、どうゆう東京土産喜びますかね」
「名古屋、行くのか?」
「はい、香帆ちゃん家に遊びに行くんです」
「え…?」
ズクンと胃の奥が痛む。
「家は泊めて貰うだけだけど、一応ご両親にも会うんだし、ちゃんとそこは抑えておかないと、ね。こうゆうのは第一印象が大事だし。なんか結婚の挨拶に行くみたいでもう今から緊張してるんですよ。まぁ、予行練習って思えば良いんですけど」
怜は嬉しそうに笑いながら東京土産の雑誌をパラパラとめくった。
香帆の母親には会った事があるが、父親はない。
それに、香帆の家に泊まった事もなかった。
自分がした事ないを怜に取られた事が悔しかった。
「名古屋のどこ行くんだ?」
「う〜ん、それは香帆ちゃんにお任せなんです。なんせ今回は思い出上書きツアーですから」
「思い出上書き?」
「そうです。香帆ちゃん、高校の時すっごい好きな人がいたんです。だけどその人と別れちゃったから、思い出の場所を見るのが辛くて。で、それに耐えきれなくて、東京に出てきたんです」
香帆が…地元を離れた理由は自分…?
その事実を知って硬直した。
「河川敷とか公園らしいけど…香帆ちゃんの甘い思い出の場所に行く事には正直、勇気がいるけど、そこで今度は俺との思い出を作ってくれたらいいな〜って。だから思い出上書きなんです」
怜は少しハニカミながら笑って見せた。
香帆と…大切な思い出が詰まった二人の場所が無くなってしまう…。
和馬は恐怖に似たものを感じた。
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