スカシユリ
His side――
高校に入学したからといっても、俺、『相良 圭吾(さがら 圭吾)』にとって、
周りの人間が変わったこと以外に特に変化はなかった。
小学校の頃からの幼馴染である『成瀬 司(なるせ つかさ)』と同じクラスになり、
昔からムードメーカー的存在だったあいつと高校でもつるんでいたため、自然と俺も中心グループに入っていた。
部活は中学の頃も入っていたバスケ部に決めた。
かなりレベルが高く、日々の練習も中学の頃とは比べ物にならないくらいキツかったが、辛いとは思わなかった。
ただ、部活中に聞こえてくる早口言葉のようなものが何なのか、いつも気になっていた。
ある日、いつものように聞こえてくる声の正体を探ろうと、休憩中、俺は体育館入口へと向かっていた。
(こっちの方から聞こえてるよな……?)
入口から覗いてみると、何人かの生徒が並んで声出しを行っているようだった。
その中には見覚えのある人物がいた。
(名前、……確か秋風?)
同じクラスの生徒がいるとは思っていなかったため、少し驚く。
秋風に対する第一印象は、物静かなやつ、それだけだった。
いつも同じバスケ部の浅井と一緒にいて、そんなに笑わないし、喋らない姿しか知らなかったため、余計に驚いたのかもしれない。
姿勢を正し、よく通る声で発生を行う姿から何故か視線を逸らせなかった。
そんな俺の視線に気づいたのか、秋風はパッとこちらを振り返った。
まさか目が合うとは思っておらず、慌てて視線を逸らした俺はその場を離れ、まだ休憩している部員のもとへと戻った。
高校に入学したからといっても、俺、『相良 圭吾(さがら 圭吾)』にとって、
周りの人間が変わったこと以外に特に変化はなかった。
小学校の頃からの幼馴染である『成瀬 司(なるせ つかさ)』と同じクラスになり、
昔からムードメーカー的存在だったあいつと高校でもつるんでいたため、自然と俺も中心グループに入っていた。
部活は中学の頃も入っていたバスケ部に決めた。
かなりレベルが高く、日々の練習も中学の頃とは比べ物にならないくらいキツかったが、辛いとは思わなかった。
ただ、部活中に聞こえてくる早口言葉のようなものが何なのか、いつも気になっていた。
ある日、いつものように聞こえてくる声の正体を探ろうと、休憩中、俺は体育館入口へと向かっていた。
(こっちの方から聞こえてるよな……?)
入口から覗いてみると、何人かの生徒が並んで声出しを行っているようだった。
その中には見覚えのある人物がいた。
(名前、……確か秋風?)
同じクラスの生徒がいるとは思っていなかったため、少し驚く。
秋風に対する第一印象は、物静かなやつ、それだけだった。
いつも同じバスケ部の浅井と一緒にいて、そんなに笑わないし、喋らない姿しか知らなかったため、余計に驚いたのかもしれない。
姿勢を正し、よく通る声で発生を行う姿から何故か視線を逸らせなかった。
そんな俺の視線に気づいたのか、秋風はパッとこちらを振り返った。
まさか目が合うとは思っておらず、慌てて視線を逸らした俺はその場を離れ、まだ休憩している部員のもとへと戻った。