流星サイダー


あ、流れ星。



「あー、流れ星見えねーかなぁ。」

「今流れたけど。」

「嘘、どこに?」

あの辺、と指を差すと
隣に居るコイツは「…何もねーじゃん。」とあたしを睨みつける。



「自分がよそ見してたんじゃない。」

「俺はずっと見てたし。」

お前の目の錯覚だろ、と言われて
そこであたしは黙り込んだ。


訪れた沈黙に、ぐびぐびとサイダーを飲む隣に座るこの男。


見てるだけで寒くなったあたしは
マフラーを鼻先まで上げて、小さく溜め息を吐いた。




あたし、椎名 流璃(シイナ ルリ)
ついこの間17歳になったばかりの、高校2年生。


「くそー、流れ星に願い事があんのに。」

「何よ、願い事って。」

「サイダーを一生分下さい。」


この隣に居る、超が付く程のバカは
羽鳥 壱星(ハトリ イッセイ)、同じく高校2年の17歳。


三度の飯よりサイダーが好きで
頭の中は多分、サイダーでいっぱい。

てか、壱星自体、サイダーで構成されてんじゃないかと思う。



「バカじゃない。」

「バカとは何だ。」

ちなみに、あたしたちは
幼なじみ。






< 2 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop