流星サイダー
直接お互いを
“幼なじみ”と呼んだ事はないけれど
幼稚園、小学校、中学校
おまけに高校まで同じだと、さすがにその枠にしか当てはまらない気がする。
と言うか
ここまで来たら、ただの腐れ縁みたいな感じ。
うん、それがしっくりくるかも。
「うー、寒ぃ~っ。」
「当たり前じゃん、そんな格好して。」
喋る度に、二人の間に浮かぶ白い息。
季節は1月、真冬中の真冬。
なのに壱星ときたら
お決まりの薄いパーカーに、下はスウェット、足元なんて健康サンダルで。
ニット帽に、ムートンコート
ブーツ、ついでにマフラーを巻いてるあたしと比べたら、まるで夏と冬のように真逆な格好をしている。
てか普通、そんな薄着で外に出る?
やっぱバカだよ、コイツ。
「お前のマフラーよこせ。」
「嫌だ。」
「お前、酷いな。」
「自業自得。」
がちがちと歯を鳴らして
わざとらしく肩を震わせるこのバカ男。
「…洗って返してよ。」
「何だよ、俺はお前の親父か。」
反抗期?と首を傾げる壱星に、溜め息を吐きながら渋々マフラーを手渡した。
そして首元にあたしのマフラーを巻いた壱星は
「あー、生き返る。」
なんて意味不明な発言。
やっぱ、バカだわ。