流星サイダー
「で?流璃の話って?」
「…あぁ、うん。」
急に寒くなった首元に、あたしはようやく今日
壱星を呼び出した事に気が付いた。
そうそう、あたしは話したい事があってここに来たんだ。
忘れてた自分に
思わず笑いがこぼれる。
ふいに見上げた視界に
赤い屋根と、青い屋根。
あれが、あたしたちの家で。
青い屋根があたしの家。
で、赤い屋根が壱星の家。
隣同士に並ぶその少し寂れた一軒家は
あたしたちがどれだけ、同じ時間を一緒に過ごして来たのか物語っているようだった。
泣き虫だった壱星、おてんばだったあたし。
一緒に居るのが当たり前すぎて
いつしか、好きなモノも、口癖も、性格も。
全部が全部、壱星とお揃いになって。
残念ながら
サイダーは好きになれなかったけど。
共有する思い出も、記憶も
いつも必ず壱星が隣に居たなぁ、なんて考えてみる。
あたしの家に置いてあるアルバムなんて
壱星のアルバムだと言っても、多分誰も気が付かないだろう。
そのくらい、あたしたちは
近くに居て
傍に居すぎたんだと思う。