お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
◇◇◇
部屋のあちらこちらを案内してもらっているうちに、気づけば午後七時半を回っていた。
外に食べに行こうと言う修矢に「なにか作りましょうか?」と千花が提案する。
といっても、男のひとり暮らし。調理器具や食材がないことも予想されると、言ってから気がついた。
ところが修矢は「それじゃお願いするか」と寝室を出る。
「あのっ、材料とかは」
「たいていのものは揃ってるはずだ」
修矢のあとを小走りで追いかけ、螺旋階段を下りていく。
揃っているということは、修矢は料理男子なのだろうか。
そんなことを考えながらキッチンへ着くと、修矢はワインレッドの大きな冷蔵庫を開いた。
美しく整理整頓された中は、飲み物から野菜、果物と、あらゆる食材で埋め尽くされている。パントリーにもいろんな乾物や缶詰がまるでスーパーのように並ぶ。スライド式の収納には、大小さまざまな鍋やフライパンなどの調理器具が整然と陳列されていた。
「どうしてこんなに?」