お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

予想を大幅に超えた品ぞろえに、千花は口をあんぐりだ。三人家族の千花の家とは比較にならない。
なによりも驚いたのは、包丁の種類の多さだった。牛刀から中華包丁、鎌型に菜切と、ほかにも名前のわからない包丁が各種揃っていた。


「週に三日、依頼している家事代行サービスが作っていってる」
「そうだったんですね」


冷蔵庫にいくつか積まれたタッパーの中身は、そのサービスで作られたものなのだろう。普段はそれらを温めて食べているようだ。


「なにか食べたいものはありますか? なんでもというわけにはいきませんけど」
「腹減ったし、すぐに食べられるものがいいな」


(すぐに食べられるものといったら……)

千花はしばらく考えたが、なによりも手早く食べられるものを見つけた。


「それじゃ、このタッパーに入っているものを温めましょうか」


残しておくのはもったいない。それをお腹に収めるのが一番だろう。

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