お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

ひとつ取り出してみれば、鶏肉のソテーらしきものが、イタリアンレストランに出されるように美しい状態で入っていた。
試しにほかのものもふたを開けてみると、ビーフシチューやパプリカやトマトのテリーヌなど、シェフが作ったような彩の美しい料理だった。

(こんなものを毎日食べていたの? だとしたら、私が作るものなんてやっぱり口に合わないんじゃないかな……)

家事代行サービスの料理の腕前を知り千花が思わず自信をなくしていると、修矢は首を横に振った。


「いや、千花がなにか作ってくれ」
「でも、そのほうが早いですし」


このまま置いておくのももったいないと思ったが、修矢はそれでも千花の料理を食べると言う。

もしかしたら修矢は家庭料理に飢えているのかもしれないと、千花はふと考えた。母親の手料理もあまり食べたことがないと言っていたことを思い出したのだ。だから家庭料理っぽくアレンジしたキーマカレーをおいしいと言ってくれたのかもしれない。

だとすれば、家事代行サービスのプロの腕前に、千花でも敵うのではないか。

(冷ごはんはないから手っ取り早いチャーハンは無理だし……あ、そうだ)

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