お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「愛想がない、か」
鼻を鳴らして修矢が笑う。
「ごめんなさいっ」
はっきりと言い過ぎてしまったことに気づき赤面する。
ところが修矢が怒る気配はない。
「千花くらいだな。そうやってポンポン言ってくるのは」
「……そう、ですか?」
修矢の周りには上品で洗練された人たちが集まっていて、千花のようにがさつな人がいないということなのか。それとも、修矢が周りから怖がられているということなのか。
(……きっと前者よね)
生活レベルの違いを考えると、それが妥当だろう。そんな修矢の結婚相手が自分でいいのか、千花は今さらながら不安を覚えた。
「お湯、沸いたぞ」
「あっ、ほんとだ」
鍋の中にポコポコと水泡ができている。千花は急いで手を洗い、袋から取り出したパスタを投入した。