お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

「愛想がない、か」


鼻を鳴らして修矢が笑う。


「ごめんなさいっ」


はっきりと言い過ぎてしまったことに気づき赤面する。
ところが修矢が怒る気配はない。


「千花くらいだな。そうやってポンポン言ってくるのは」
「……そう、ですか?」


修矢の周りには上品で洗練された人たちが集まっていて、千花のようにがさつな人がいないということなのか。それとも、修矢が周りから怖がられているということなのか。

(……きっと前者よね)

生活レベルの違いを考えると、それが妥当だろう。そんな修矢の結婚相手が自分でいいのか、千花は今さらながら不安を覚えた。


「お湯、沸いたぞ」
「あっ、ほんとだ」


鍋の中にポコポコと水泡ができている。千花は急いで手を洗い、袋から取り出したパスタを投入した。
< 106 / 271 >

この作品をシェア

pagetop