お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「それじゃせっかくだから、修矢さんは明太子を皮から取ってもらってもいいですか?」
料理をしたことがないとはいえ、外科医だから包丁さばきはきっと華麗だろう。
冷蔵庫から出した明太子をひと腹分、まな板にのせる。何種類もある包丁の中からペティナイフを修矢に手渡した。
すると修矢は、迷うことなくナイフでそれをぶつ切りにしていく。
「ち、違いますよっ」
千花は慌ててその手を止めに入った。
「は? なにが違うんだ」
「ぶつ切りにしちゃダメです」
「それならそうと言わなきゃわからないだろ」
たしかに。相手は刃物の扱いには慣れているが、料理は初心者だ。
「ごめんなさい。えっとですね、こうして薄い皮に切れ目を入れて明太子を開いたら、ナイフの背でスーッと引いていくんです」
「おお、すごいな」
実演する千花の手もとを見て、修矢が目を丸くする。