お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
ハイスペックの修矢を驚かせることができた千花は、自分がちょっぴり誇らしかった。
「じゃあ、明太子はもうそれで十分なので、のりをはさみで切ってもらえますか?」
「のりをはさみで?」
千花が手渡した板のりとはさみを持ったまま、修矢が固まる。なにをしたらいいのか、さっぱりという顔だ。
「のりを折り紙のように縦に四等分くらいに折ったものを切って、そのあとさらに細く切っていってください」
指示したとおりに真剣な顔をして修矢が折ったのりは、途中で割れてしまったり、思いのほか太く切れたりする。それを見た千花は笑いがこみ上げて仕方がない。
千花がクスクス笑っていると、修矢は「なんだよ」と不満げに顔を上げた。
「外科医だから手先は器用だと思っていたので……ふふふ」
千花は笑うのを堪えきれない。
「不器用で悪かったな」
「いえ、なんだか親近感が増します」