お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
千花が謝ると、東子は少し不満そうに「はいはい」と座っていた椅子へ戻った。
「それで衣装なんですけど、これはどう思いますか?」
千花がその場でくるっと回って、着物を修矢に見せる。
修矢は少し引き気味の体勢をとって千花を眺め、そばにかけてある別の色打掛を物色し始めた。真面目に見立ててくれるようで千花はうれしくなる。
「こっちの方がいいんじゃないか?」
修矢が手にとったものを美咲がすかさず千花に羽織らせた。
それは唐織に箔で、優美な雲の下に様々な秋草が咲く様子を表現したもの。十一月中旬の挙式にはぴったりの打掛だ。
「渡瀬様、とっても素敵です。さすが久城様」
「うん、千花、似合ってるよ」
美咲と東子に太鼓判を押され、千花の顔がパッと華やぐ。三人がそう言ってくれるのならと、その衣装に無事決めたのだった。