お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
早速手を伸ばし、千花もクッキーを一枚口に放り込む。
「――ん、やっぱりお母さんのクッキーはおいしいな。レモンの風味が爽やかだね」
千花が口をもごもごさせながら言うと、「あのね、千花」と幸助と美幸が声をそろえる。やけに嬉しそうな顔を見た千花は目を瞬かせた。いったいなんだろうか。
「お見合いしない?」
「――ゴ、ゴホッ」
突然の提案が千花をむせさせる。クッキーのかけらが喉の変なところに入り込んだ。
「ちょっと大丈夫?」
美幸に心配されて、千花は慌てて紅茶で喉を潤しながら首を横に振った。唐突に見合い話を持ち出されて大丈夫なはずはない。
「どうして私にお見合いなんて」
紅茶を飲んでなんとか喉を落ち着かせ、当然ながら聞き返す。