お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
デニムに白いシャツ、テーラードジャケットを羽織ったシンプルなコーディネートだが、修矢が着ると洗練されて見えるから不思議だ。女性たちがモデルかと思うのも、千花にはよくわかった。
そんな人の隣を歩く優越感と、自分は不釣り合いではないか?という劣等感。そのふたつが千花の心で激しくせめぎ合う。
(……私ってばやだな。せっかく楽しい場所に来てるのに)
気を取り直して修矢の手をギュッと握ると、わずかに握り返された。
「あ、あのカチューシャ、かわいい!」
通りすがりにあったワゴンで千花が足を止める。そこには、メインキャラクターをあしらったカチューシャが売られていた。
実は子供の頃、千花はこれがほしくて親にねだったことがあるが、買ってもらえなかった過去がある。大人になってからも何度か来たことはあるが、そのときも買わずじまい。
「どうですか?」
カチューシャをつけた千花が修矢に見せる。