お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
袋はいらず、値札を外すようにお願いもして、手に入れたそれを千花の頭に修矢がつける。
「俺はいらないからな」
そう念押しして、千花の手を取り再び歩きだした。
「……修矢さん、ありがとう」
うれしさが千花をくすぐったい気持ちにさせる。
そんな千花の視線の先に、あるアトラクションがあった。
「修矢さん、あれに乗りませんか?」
指を差しながら、千花が修矢の手を引っ張る。待ち時間もほぼなさそうだ。
「これ、私、好きなんです」
いつ来ても、それほど待たずに乗れるのが魅力だが、ボートでゆっくりと水に揺られながら進むのがなんとも心地いい。
スタッフのアテンドで、千花たちは番うしろのシートに腰を下ろした。
暗がりの中、緩やかなスピードでボートが進んでいく。