お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
お見合いの真実
次々に押し寄せる波のように、毎日がものすごい速さで流れていく。
結婚式の打ち合わせに衣装合わせ。修矢と半分同居を始めた新居の整理もしなければならず、時間がいくらあっても足りない。
「千花、たまには病院にいる修矢さんにお弁当でも作って届けてあげたら?」
昨夜、実家に寝泊まりしていた千花が起きてリビングに顔を出したところで、美幸が提案する。
わたせキッチンは定休日。今日はこれからまたふたりの新居の整理をしに行く予定だが、少しくらいなら時間がとれそうだ。
「それいいかも」
結婚式まであと十日。実家と行き来する同居生活は続いているが、修矢とはあれ以上の進展はない。キスもあれっきりだ。
なんとなくふたりの間に同じ気持ちが存在しているように感じることもあるが、夜、修矢が千花の部屋を訪ねることもなければ、一緒に寝ようと提案されることもない。
結婚までは節度のある付き合いを続ける考えなのか、それとも千花が思うほどに修矢の気持ちはそれほどでもないのか。千花には想像もつかなかった。
そんなふうにまだ微妙な関係ならば、ふたりの時間は無理しても作った方がいいだろう。
美幸の提案が千花を笑顔にさせる。
そうと決まれば、朝食を食べたら早速準備に取り掛かろう。
千花は「いただきます」と手を合わせて、美幸が焼いてくれたトーストを頬張った。