お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「なんですかそれー! ひどいですよぉ。俺は久城さんのなんなんですかぁ」
「強いて言うなら同じ大学の後輩。それ以上でも以下でもない」
「相変わらず冷たすぎますよ、久城さん」
神崎は興奮していたかと思えば、今度は涙目になる。腕で顔をごしごしと拭い、泣いているアピールをしてみせた。
「神崎だけじゃない。病院関係者にもまだ話してないんだ」
「どうしてですか? 呼ばれる方だっていろいろと準備があるんですから、早く発表した方がいいです。俺もスーツを新調しないとならないし」
通常の結婚式であればそうだろう。
「心配するな。神崎を呼ぶ予定はない」
「どうしてそんな意地悪なことを言うんですか」
「急だったから、親族だけで挙げるんだ」
披露宴も、どちらかといえば食事会の延長のようなもの。正式なものは、少し落ち着いてからという話になったのだ。
「だけど、そんな女性がいることも俺に隠していたなんて水臭いですよ」
「わざわざ話すこともないだろ」
「わざわざ話すことですよ。久城さんの結婚なんですから」