お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

その矢先の結婚話に卒倒しそうになったと。


「それは悪かったな」
「ほんとですよぉ」


神崎は悔しげに唇を噛みしめた。


「ほかの先生方ともよく話していたんです。彼女がかわいいって。花で言うならマーガレット。ほんとにかわいらしい感じなんですよね。バラのような近寄りがたく気高い感じじゃなくて」


修矢は、神崎のたとえがわからなくもなかった。
千花の美しさを花で形容するなら、気品に溢れたバラやユリなどではなく、スイートピーやかすみ草と言った可憐な花がぴったりだろう。


「名刺を渡して『体調が悪いときにはぜひ』って売り込みもしてたんですから」
「お前は小児外科医だろ」


額を軽くコツンと小突くと、神崎は「イテッ」と大げさに痛がって苦笑いを浮かべる。


「そうですけど、ほかのやつらもこぞって渡してたんですよ。だから彼女の手もとには内科はもちろん、眼科に耳鼻咽喉科、整形外科といった具合に名刺があるはずです」

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