お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
千花が切り出すと、修矢はコーヒーに口を付けたまま千花にチラッと視線を投げかける。話そうかどうしようか迷っているようにも見えた。
(そこまで言いにくいことなの? それなら、無理に聞くことはしたくはないけど……)
修矢はカップをテーブルに置き、意を決したような顔をして千花を見つめた。
「千花に隠していたことがある」
「……隠していたこと?」
秘密めいた話の始まりが千花に緊張をもたらせる。どんなことを告白されるのかと、静かに着実に鼓動が速まっていく。
もしも結婚を揺るがすほど重大なことだとしたら……。
千花が膝の上に置いた手を緊張に固く握ったとき、
「千花の見合いの相手は兄貴だったんだ」
まったく想像もしていなかったことを修矢が告白した。
「……えっとそれはお兄さんが断って、代わりに修矢さんがってことですか?」
千花の質問に修矢が首を横にひと振りする。