お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「千花を好きだった」
やっぱり千花の耳はどうかしてしまったようだ。修矢が自分を好きだったなんて、ありえない事態だ。
どの時点からなのかはわからないが、もしかしたらこれは夢なのではないか。
一樹が訪れて、修矢とふたりで部屋に入ったきり出てこず、その間に千花は待ちくたびれて寝入ってしまったのでは。
「ちゃんと聞いてるか、千花」
「えっ、あ、はい」
取り繕って頷いたが、思考回路は夢見の途中。ぜんまい仕掛けのようにゆっくりゆっくり回り、一向に埒が明かない。
「千花?」
もう一度名前を呼ばれ、焦点の定まらない瞳で修矢を見る。
「私、夢見ているわけじゃないですよね?」
千花が質問すると、修矢は呆れたように笑った。