お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
はじめて結ばれた夜
午後の日差しが燦々と降り注ぐオープンカフェ。十一月にもなると太陽が出ていても、感じる温もりはほんのわずか。テーブルの下に置いてあるヒーターに千花は身体を寄せた。
「千花の結婚式も明日か。いよいよ人妻になるんだね」
ホットのカフェラテを飲みながら、東子は感慨深げに頬杖を突いた。
「うん、なんだかまだ信じられない」
見合いから二ヶ月弱。めまぐるしく過ぎていく時間の中、なんとか準備を重ねて明日の結婚式を迎えられる段階まできた。親族だけで行われる式だが、高校時代からの親友である東子には参列してもらうことになっている。
「だけど、ハイスペック狙いの私がまだ残っていて、結婚はしないって言っていた千花がハイスペックを射止めるなんて、なんの誤作動なの?」
「誤作動ってなに」
「だってそうじゃない?」
クスクス笑う千花を見て、東子は唇を尖らせた。