お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「それで、幸せな結婚はできそう? 少しはお互いに歩み寄れた?」
「あ、うん……」
曖昧に返事をしながら千花が俯く。ついこの前、修矢に打ち明けられた話を思い出して、千花の胸が高鳴った。
「なに、そのにやけた顔は」
「にやけた顔って、ちょっとひどいよ、東子」
せめて幸せそうな顔と言ってほしい。
「だって、目尻も眉も、とにかく顔のパーツがみーんなダラーンと下がってたよ」
「そんなことない」
「そんなことあるって。さては、なにかいいことでもあったな。もしかして〝した〟?」
口もとに手をあて、東子がこそっと囁く。
「ちょ、ちょっと!」
「あら? その反応だと図星? やだなぁ、好きになれるかなぁ、好きになってくれるかなぁなんて悩んでいたくせに、ちゃっかりそういうことは済ませちゃってるの?」
「もう、しーっ!」
千花は唇の前に人差し指を立てて、東子に言葉に気をつけるようにお願いする。