お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
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予定を五分ほどオーバーし手術室から修矢が出る。緊張で張りつめていた息を大きく息を吐き出し、スクラブの上から白衣を羽織った。
ペタペタとスリッパの音を響かせながら長く白い廊下を歩いていると、神崎が後ろから追いかけてきた。
「久城さん、今回もみごとな手術でしたね。いやぁ、ほんとにいろいろ勉強になることばかりで。あとでもう一度録画した動画で確認させてもらいます」
極度の緊張から解放されたばかりの修矢は、もう一度深呼吸をするかのように息を吐き出したあと、「早く俺のところまでこい」と神崎の肩を叩く。
「なに言ってんですか。そんなすぐには無理ですって。だけど、必ず同じところまで行きますからね。待っていてください」
「楽しみにしてるぞ」
修矢が微笑みを浮かべながら歩き始めると、神崎は「あれれ?」と顔を覗き込みながらついてきた。
「……なんだよ」
「なんか久城さん、感じが変わりましたね」