お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
そこが引っかからないのだろうか。きっと生活レベルも違うはずだと千花が警戒する。
子供の頃で例えるなら、誕生日には大勢の友達を呼び、広い屋敷で豪勢なパーティーを開いたりするような家庭だろう。
「息子さんはなにをしている人なの?」
「長男はデザイン会社を手広くやっている社長で、次男は久城総合病院の小児外科医だそうだ」
どちらと見合いさせようと言うのか知らないが、どちらにしても千花とでは格が違いすぎる。
(会社経営の長男に小児外科医の次男? ……どちらも住む世界が違いすぎるんじゃないかな)
ありえないと首を横に振りながら、千花はソファの背もたれに身体を預けた。
そろそろ結婚を視野に入れるのもいいかなと思い始めたのは事実。でも、相手との間に天と地ほどの格差があっては千花も二の足を踏む。
「ついさっき久城さんから電話があってね、次男の方との見合いを進めたいとおっしゃってるよ」
「……小児外科医の方?」
ソファにもたれたまま千花が聞き返す。気が乗らないのはみえみえだ。