お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
ジロジロと見る神崎を修矢が軽く睨む。
「なにが変わったんだよ」
「なんでしょうねぇ。こう……雰囲気がやわらかくなったっていうか」
神崎の言うことが、修矢にはまったくわからない。
「別に俺はなにも変わってない」
「そうですかぁ? いっつもピリッとした空気をところかまわずまとっていたくせにー」
早足の修矢に小走りでついていきながら、神崎は顎に手をあてて思案顔だ。そして、なにかを思いついたように手のひらを拳でトンとする。
「あ、わかった! 結婚したからだ」
人差し指で修矢を指さし、ニヤニヤと笑った。
「結婚したからなんだって言うんだよ」
「そうかそうか。孤高の外科医、久城修矢もついに愛に目覚めたってやつですね」
くだらないことを言い始めた神崎の頭を修矢が拳でコツンとやる。大きなため息付きだ。