お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

「はい、了解しましたぁ!」


神崎は敬礼のように右手を頭に添えた。


「それじゃ、お先」
「あ、神崎さん、明日ですけど」


背を向けた修矢を神崎が呼び止める。


「今日の代わりにお休みされてはどうですか? 久城さんがここに着く前に、ほかのみんなとも話してたんですよ。結婚式の翌日に呼ばれるのはかわいそうだからって」
「いや、大丈夫だ」


今回はもともと、いつ執刀になってもおかしくない状況だったのだから。結婚式当日じゃなかっただけありがたいというもの。


「そういうわけにはいきませんよ。神崎さんがそういう勤務体系をとっていたら、下の者がみんな、休みを取りづらくなるじゃないですかぁ」


修矢を悪者に見立てるのは、おそらく神崎の優しさなのだろう。そう言って、無理にでも休ませてあげようという気づかい。

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