お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
修矢は髪を緩くまとめた千花の首筋に顔を寄せた。
「ただいま」
耳にかかる吐息が、千花の背筋を痺れさせる。
「お、おかえりなさい」
なんとかそう返し、「どうかしたんですか?」と胸をドキドキと張りつめさせる。
「別に」
素っ気なく答える割には修矢が千花の耳に軽く唇をあてるものだから、千花は小刻みに肩を揺らしてしまう。
「そ……うなんですね」
「千花に会いたかっただけ」
「えっ……」
修矢にそんなことを言われた記憶は一度もない。初めて聞く言葉に千花の胸は高鳴るいっぽう。ぶっきらぼうな言い方なのに、糖度は果てしなく高い。
嬉しくて恥ずかしい。照れているのを隠したくて、千花が慌てて話を振るが……。