お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

美代は「こちらこそ」と言って頭を下げてよこした。


「それにしても久城先生の変わりようといったらないですね」
「……はい?」


なんのことかと千花が首を傾げる。


「いつも険しい表情をして人を寄せ付けようとしなかったのに、今じゃそんな影はみじんもありませんから」
「……そうなんですか?」
「まぁ患者さんに対しては、以前から優しく接していましたけどね」


意地悪なことを言うのは別として、千花に対しても最初に会ったときとは比べものにならないほど笑顔が増えたのは事実。
でもそれは、修矢が不器用だったせいもあるだろう。うまく自分のことを表現できない。

修矢はもともと優しい人なのだ。


「きっと奥様のおかげでしょうね」
「いえっ、そのようなことは……」


千花は慌てて首を横に振る。
〝奥様〟という呼ばれ方にも、まだまだ慣れない。
そう呼ばれるたびにくすぐったくなる。

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