お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「……これなに?」
「そんな写真しか見つけられなかったそうだよ。直接息子さんを撮ろうとしたら、拒絶されたそうだ」
何年も前に撮影した写真の現物をスマホで撮影し直したような、画素数の荒い写真だった。しかも手ぶれのため、それが男性であること以外はわからないような判然としないもの。
「久城さんはなかなかの美男子だから、きっと息子さんもそうだろうよ」
なんて無責任なと、千花が憤る。見合いと言えば、見合い写真と釣書だろう。それもないまま見合いに臨むとは。
「ともかく、一度会ってみたらどうだい?」
「どんな人なのかもわからないのに?」
「だから会うんじゃないか。会ってもいないのに答えを出さなくてもいいだろう?」
幸助の言っていることもわからなくはない。相手を知らないで一方的に受け付けないのも失礼だとは思う。
「会ってみて千花が嫌だって言うなら、それは仕方のないことだけど、会わずに決めるのはどうかと思うわ。もしかしたら最良の伴侶かもしれないのに、その未来を自分から放棄しちゃうなんて」