お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

修矢は、昼に千花が弁当を持って病院に現れなかったため、スマホに連絡を入れたのだろう。ところが、それを置き忘れた千花は電話に出ない。

この時間なら、通常勤務の修矢はマンションに帰っている。そこに千花の姿はなく、洗いっぱなしになっている弁当箱を見つけ、美幸に連絡をいれたといったところか。

美幸は千花の抵抗も虚しく、修矢に電話を掛け始めた。


「あ、修矢さん、千花、こっちに帰ってきたわ。……ええ。……はい、わかりました」


短い通話を終えた美幸が、「これから迎えにくるって」と千花に振り返る。


「……迎えに?」
「そうよ。それとも自分で帰る?」


千花は唇を噛みしめて首を横に振った。
その様子を見ていた美幸が深いため息を吐く。


「とにかくこっちにいらっしゃい」


やはりここではないどこか別の場所へ行くべきだったと、今ごろになって後悔が千花を襲う。とぼとぼと美幸のあとについてリビングへ入った。

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