お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

「そうだよ、千花。父さんの顔を立てるというスタンスでいいから。母さんの言うように嫌なら断ればいい。そこは父さんが責任をもつから」


父親の面目を潰すのは、さすがに千花も嫌だった。
それも相手は大病院の院長。断るとはなにごとかと、巨大な力を使ってわたせキッチンを潰されるようなことがあっては困る。

会ってみて嫌なら断れる。そう言われたのは、多少なりとも千花も気が楽だった。


「……わかった」
「そうか! お見合いしてくれるか!」


幸助の顔がぱっと華やぐ。その言葉を待っていたとばかりに、座ったまま身体を弾ませた。


「会うだけでいいんでしょう?」
「もちろん、それでいいよ」


千花の念押しに幸助はうんうんと何度も頷く。


「それで、お見合いはいつなの?」
「明後日の土曜日だ」
「え!? そんなに急なの!?」
「こういう話はスピードが肝心だからね」

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