お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

脱力したようにソファに腰を下ろす。


「急に姿をくらませるなんて、いったいなにがあったの?」


すぐに紅茶を入れてくれた美幸は、向かいに座って困ったような顔で千花を見つめた。

修矢に隠し子がいたなんて重い話は、すんなり口にできるものでもない。しかも、その母親はわたせキッチンが逆立ちしても敵わない、東都製薬の令嬢。

もしもそんな話を美幸にしたら、この場で卒倒してしまうのではないかと千花は思った。

修矢と千花が、未だに本当の夫婦じゃないこともそうだ。


「修矢さんもかなり慌てた様子だったわよ?」


そういえば引き出しから見つけた婚姻届をそのままにしてきたことを思い出した。動揺していたから、きっと床にでも落ちていたはずだ。

それを見つけた修矢は、どう思っただろう。
ずっと隠していた秘密を千花に見つけられ、しまったと思ったか。それとも、こんなものがこんなところにあったのかという、ちょっとした驚きか。

どちらにしても、千花には目を背けてしまいたい現実だ。

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