お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

それとも、その両方の理由で、千花たちが今夜を限りに終わりになることなのか。
千花にはもはや、そのどれもが当てはまるように思えた。
それが逆に、修矢への想いを募らせる。

(こんなに好きになっちゃったのに……)

修矢の胸に寄り添うようにして、千花はドアにそっと頬を押しつける。


「忘れていたわけじゃな――」
「そうじゃないんですよね? 出せない理由があったんですよね?」


修矢の言葉を千花が遮る。
ドアの向こうで修矢が息を飲む気配がした。きっと身に覚えがあるのだろう。

修矢が本当に千花のことを愛しているのなら、決めたことは即実行の修矢が出さずにいられるわけがない。一樹が帰国する前に急いで結婚式を挙げたがっていたことと矛盾してしまう。

つまり、最初から出すつもりはなかったということになる。


「本当に悪かった。頼む、ここを開けてくれ。顔を見てきちんと話がしたい」
「……嫌です」

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