お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

「俺が実家に迎えに来る前に、千花は姿をくらますんじゃないかと思った」


なんと修矢には千花の行動は読まれていたらしい。


「いったんマンションへ帰ったんだが、風呂に浸かりながらふとそう思ったんだ」
「……それでここに早い時間から?」
「昨夜からずっとここで張ってた。千花がいつ出てきてもいいように」
「昨夜から!?」


まさかそんなに長い時間ここに修矢がいたとは思いもせず、千花は驚いて聞き返す。
でもきっとそれは、千花を引き留めるためではない。


「……そんなに早く私と決着をつけたかったんですか」


早いところ別れ話をして、優奈の本当の父親になろうと。千花とは本当の夫婦ではないのだから、面倒な手続きはいっさいない。


「千花、本当にごめん」


いきなり修矢に抱きすくめられ、千花は呼吸を忘れそうになった。修矢の声が切なすぎて、胸が苦しい。
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