お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「兄貴から昨夜電話があったんだ。千花が、優奈と美和子のことを病院で見かけたって」
千花の心臓がドクンと弾む。いよいよその話をされるのかと思い、気持ちが張りつめる。
(まだ聞きたくなかったのに……)
そう思ったところで、修矢にがっちりと抱き込まれていたのでは逃げることも叶わない。
話をするためだけに抱きしめられることの悲しさが、千花の胸を襲う。
「千花、よく聞いて。優奈は俺の子供じゃない」
聞き違いじゃないだろうか。でも修矢はたしかに今、『優奈は俺の子供じゃない』と。
(……いったいどういうことなの? 一樹さんが言っていたことは?)
千花の頭の中が、突然の嵐が吹き荒れたように混乱する。
「美和子との間にも、なにもない」
「……話が全然わかりません」
それならば、どうして優奈は修矢をパパと呼んだのか。一樹はどうして〝隠し子じゃない〟と否定してくれなかったのか。