お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
そうは言うが、限度というものがあるだろう。明後日では準備もままならない。
なにを着ていけばいいというのか。見合いにふさわしい洋服は持っていないから、今日これから買いに行くしかないではないか。
千花があれこれ心配していると、
「着ていくものなら心配いらないわ」
その心配をみごとに察した美幸がにっこり微笑む。
「こんなときのために千花に訪問着を仕立ててあるの」
なんて準備のいい母親だろう。まさか着物まで揃えて、千花の結婚を待ち望んでいたとは。
「それじゃそういうことで。さて、母さんの焼いたおいしいクッキーをいただこうか」
幸助は満足そうにクッキーを口に運んだ。