お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
幼い頃から、あれこれと夢見てきたことを思い浮かべる。
千花は、どちらかと言えば洋装よりも和装に強い憧れがあった。それは多分、千花の両親の結婚式が和装だったせいもあるだろう。その写真は今でもリビングに何枚か飾られている。
厳かな神社で粛々と挙げられる式。ウエディングドレスより白無垢を着てみたいと思っていた。
「神前がいい」
『へぇ、ちょっと意外ね。千花だったら、かわいらしいウエディングドレスが着たい!って言うのかと思ってた。綺麗系で攻めたいってわけね』
そういうわけでもないのだが。
『でもわかった。仕事のつながりでウエディングプランナーがひとりいるから、いくつか候補を教えてもらう。明日の夕方までに千花にリストかなにかを送るわ』
やはり頼るべきは東子。やることが本当に早い。
頼もしいことを言ってくれた東子との電話を切り、千花は修矢にもらった小さな花束をフラワーポットに生けた。