お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「千花さんからお聞きになっているかもしれませんが、すぐにふたりで生活を始めたいとも考えています」
「ええ、伺っております」
「知り合ったばかりですものね。早く打ち解けるにはそのほうがいいと、主人とも昨夜話しておりました」
千花を置き去りに、三人でどんどん話が進んでいく。自分のことなのに、千花には未だに実感がなかった。
(私、本当にこの人と結婚、するの?)
隣に座る修矢をこっそりと盗み見る。その横顔を見てみても、ふたりの未来は白いもやの中に霞んでいた。
「急がせてしまい申し訳ありません」
修矢が腰を軽く折り、頭を下げる。
「いえいえ、千花には早く幸せになってもらいたいですから」
幸助と美幸は「ね?」と顔を見合わせてから、揃って千花を優しい目で見た。
失恋してからの二年間、両親をどれほど心配させてきたのか、改めて千花は思いを巡らせる。