お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

思わぬ感想を修矢からもらった千花はホッと胸を撫で下ろす。背負っていた重い荷物を一気に下ろした気分だ。


「ありがとうございます。修矢さんはお母様のおいしい手料理を食べてきたでしょうから、口に合うか心配だったんです」
「母親の手料理はめったに食べたことはない」


想像もしていなかったことに、千花は一瞬返事に困る。


「……そうなんですか」


見合いの席で会った修矢の母親は、息子の身体のことを心配するごく普通の優しい母親に見えたが。料理が苦手だったのだろうか。


「大学教授だから昔から忙しくて、家事は家政婦任せだ」
「大学教授?」


思わず噛みしめるようにリピートする。

父親は神の手を呼ばれる心臓血管外科医で、母親は大学教授。おまけに兄は会社を経営している社長。
千花のような一般家庭から見たら、雲の上の存在ともいえる家族だ。

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