お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
スタッフたちから向けられる視線が針のむしろのよう。被害妄想かもしれないが、〝あなたのような女性が身に着けるものじゃない〟と言われている気がしてならない。
修矢の恋人としても同じように不釣り合いだと思われているだろう。修矢に対するものと千花に対する視線は、明らかに違っていた。
「どのようなものをお探しですか?」
早速修矢を目指して女性スタッフが現れた。
「婚約指輪を」
修矢の言葉にスタッフが優雅な笑みを浮かべる。
「それは、ご婚約おめでとうございます。参考までにご予算をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「予算は特に決めていないので、彼女に似合うものをいろいろと見せてください」
「承知いたしました。それでは奥の方へどうぞ」
そのスタッフはスマートに頭を下げると、千花たちを店内の奥へと案内した。おそらくVIPを通す部屋だろう。モダンな革張りの応接セットが千花たちを出迎えた。
「いろんなタイプのものをご用意してみました」