お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

「別のものがいいのか?」
「あ、いえ」
「いいから言ってみて」
「……えっとそれじゃ、その一番左端の……」


つい調子に乗って別のものをねだる。憧れのエンジェル・ウィンストン。試しにつけられる機会はこの先きっとない。


「こちらでございますか? こちらは発売したばかりの新商品でございます。試してみますか?」
「お願いします」


千花の代わりに修矢が答える。
センターには一カラットのダイヤモンド、リング部分にまで贅沢に小粒のダイヤがあしらわれている、とてもロマンティックなものだった。

実は最初にケースに入っているのを見たときに、千花が真っ先に目を奪われたリングだ。
先ほどと同様に修矢にはめてもらった指輪は、言葉ではとても表現しきれない美しさだった。

(すごく綺麗……)

千花は、角度を変えるたびに光を美しく放つダイヤをしばらく時間も忘れて見入った。

ふと視線をケースに移し、そこにある値札が目に留まる。いったいいくらするのだろうかとゼロを目で数えていくと。

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