お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
(嘘! ゼロが六個も並んでる……!)
その指輪の価値を思い知った途端、薬指が異様に重く感じた。
「あ、あの、ありがとうございました。とても素敵なのですが、もっとこうシンプルでお手頃というか」
こんなに高価なものを修矢にねだるわけにはいかない。千花は慌てて指輪を外して、女性スタッフに返した。
「そうですか? ではほかのものを……」
女性スタッフが席を立とうとすると、修矢がそれをスマートに引き止める。
「いえ、こちらにします」
「えっ、修矢さん!?」
スタッフは腰を浮かせたまま、千花たちを見つめた。
「俺はこっちの方が気に入った。それだけだ」
断固として修矢は言い張った。