お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
現実味を帯びていく結婚
修矢のマンションは車で病院から十分、千花の実家から二十分の閑静な住宅街にある。修矢の父親が不動産として所有する新築の低層マンションでもあり、広い庭を有する贅沢な造りとなっている。
地下駐車場には想像していた以上に高級車が何台も並び、まるで展示場のよう。
エレベーターを一階で降りたエントランスロビーは、ベージュを基調とした大理石が磨き上げられて光輝く。同じく大理石の太く豪奢な柱は高い天井に伸び、三階くらいまで吹き抜けになったエレベーターフロアには、上品なシャンデリアが吊るされていた。
二十四時間対応のフロントにはコンシェルジュが常に待機し、四重のチェックを抜けて、ようやく部屋に辿り着くくらいの万全なセキュリティ。
「ここはどこですか」
千花はそう聞かずにはいられない。
当然ながら、千花の住むマンションとは雲泥の差。天と地。見合い会場だった高級ホテルのように豪華なマンションは、見たことも足を踏み入れたこともない。
「ふたりの新居になるマンションだ」
「そ、それはわかってます」